イギリス留学と日本の大学 留学生を送り出す親 そして日本へ戻りたい子供
- haruukjp
- Apr 17
- 4 min read

ロンドンに住み始めて、もう何年になるのか。洗濯物は乾かないし、紅茶は濃すぎる。でも、そんな日々の中にも、ふとした瞬間に「来てよかった」と思うことがある。
この島国には、年々多くの日本人留学生が送り込まれてくる。まるで北風に舞う木の葉のように、迷いながら、でもどこかで確かに風に乗って。英語という言語が持つ魔法のような響き、世界へ開く鍵としての機能。それを信じて、イギリスという舞台を選ぶ若者が後を絶たない。
実を言えば、私自身もかつてアメリカに1年間、留学していたことがある。高校生だった頃の話だ。学校の廊下には巨大なロッカー、ランチはピザとミルク、そしてなぜかいつも空が青すぎた。
その頃、私は悩んでいた。アメリカの大学に進むか、それとも日本に戻って日本の大学に入るか。悩んだ末に日本を選んだ。日本の企業で働くことを考えれば、日本の大学を出ておいた方が“無難”だという声が多かったから。
日本の大学を出た方がいいと言われる理由
いくつか、もっともらしい理由がある。
学歴フィルターの存在:特に大手の日本企業では、いまだに“国内大学卒”が基本ラインだという空気がある。
就職活動のタイミング問題:日本特有の“新卒一括採用”という風変わりな仕組みに乗り遅れると、レールに戻るのが難しい。
だが、それも少しずつ変わってきている。グローバル化の波はゆっくりと、しかし確実に日本の企業文化にも入り込んでいる。学歴偏重主義は、少しずつ「実力重視」へと転換されつつある。もちろん、それには時間がかかる。でも、「時間がかかるからやらない」という理由にはならない。
自分の価値をどう示すかが、これからの鍵
大切なのは、「どの大学を出たか」よりも、「自分がどんな価値を提供できるか」。それはもう、どの国にいても変わらない本質だと私は思う。
もし、今あなたが海外大学を目指している、でも日本に帰って日本の企業で働きたいなら――。
英米の評価される大学で学位を取得する。
日本でのインターンを経験する。
オンラインで面接や仕事に挑戦する準備をしておく。
そんなステップが未来を作っていく。
また、たとえ学歴に不安があっても、専門スキルや実績を磨いて、SNSやポートフォリオで自分を発信していけば、世界は案外ちゃんと見てくれる。ベンチャー企業、スタートアップ、そして個人でできる働き方も広がっている。
留学生として、イギリスで学ぶということ
イギリスに来る日本の子どもたちを見るたび、私は彼らの背中に、自分の過去や、これからの希望が重なって見える。
中学校からイギリスで全寮制の学校に入り、GCSEを経てAレベルを目指す――それは決して簡単ではないけれど、本当に多くの学びがある。語学だけでなく、歴史、科学、文学。すべてを英語で学ぶことで、世界との対話が生まれる。
そしてその先にあるのは、オックスフォードやケンブリッジ、インペリアル、LSE……世界屈指の大学たち。そこに手を伸ばすことは、きっとただの「進学」ではなく、人生の地平線を広げるという意味での、ひとつの革命なのだと思う。
留学という選択は、人生の“編集”である
人生は一冊の本のようなものだとすれば、留学とはそのページの構成を少し変えてみるようなものだ。章立てを変え、登場人物を増やし、背景の色彩を塗り替えていく。
私は、そんなふうにして自分の人生を少しずつ「書き直して」きた。これからも、たぶんそうやっていくだろう。
そしてあなたもまた、自分の人生をどう“編集”していくか、考えているところかもしれない。
イギリス留学、海外大学進学、そして日本企業で働くための道の選び方――どの道にも正解はない。けれど、自分で選んだ道なら、それが一番しっくりくる道になる。
それは、私が自分の足で歩いてきて、ようやくわかったことの一つだ。
文:はる『ロンドン発・アラフィフ父のリスタートライフ』
ロンドン在住、アラフィフ世代の父が綴る、暮らしと学びと再構築の日々。海外での子育て、キャリアの再設計、日常に潜む哲学的な気づき――ただ前を向いて、自分らしい「これから」を丁寧に築くためのライフログです。
家族との暮らしを大切にしながら、自分自身の軸も柔軟にアップデートしていく。その過程で見えてきた気づきや工夫を、同じように変化の中にいる誰かに届けられたらと思っています。ロンドンの空の下から発信中。
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