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日本の優秀な高校生がイギリスの大学を目指す理由と現実:入試から学費、就労ビザ、奨学金まで

  • Writer: haruukjp
    haruukjp
  • 2 minutes ago
  • 6 min read

イギリスの大学進学を真剣に考える日本人高校生が年々増えています。特に、国際バカロレア(IB)やAレベルといった国際資格を取得する生徒の中には、将来的に外資系企業で働くことを見据えて、国内大学ではなくイギリスの大学進学を選ぶ人が多くなっています。

本記事では、イギリス大学進学を目指す高校生とその保護者の方々に向けて、大学入試制度、学費と奨学金、卒業後の就労ビザ、さらには日本社会とのギャップについて、多角的に解説します。


1. 日本人高校生がイギリスの大学を目指す理由

外資系企業で働きたいという明確な動機

日本の優秀な高校生の中には、「日本の大学ではなく、世界的に通用する大学に行きたい」という強い意志を持つ者がいます。特に、グローバル企業や欧米系の外資系企業で働くことを将来の目標にしている場合、イギリスの大学卒業という経歴は大きな強みとなります。

たとえば、エディンバラ大学やユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)など、世界ランキング上位に入る大学を卒業していれば、ロンドン、ニューヨーク、シンガポールといった都市の一流企業からの就職オファーも現実的です。

日本企業の「ブランド認知」のギャップ

しかし一方で、日本の企業では「イギリスの大学」と聞いてもピンと来ない場合もあります。「エディンバラ大学?それって偏差値いくつ?」といった、日本の大学入試制度に基づいた物差しでしか学歴を測れない風潮が一部に残っています。

そのため、イギリスの名門大学に進学した学生が、日本では過小評価されるリスクもあるという現実があります。結果として、優秀な若者たちが日本ではなく海外に活躍の場を求める「頭脳流出」のような現象が起きています。


2. イギリス大学入試とUCAS出願

イギリスの大学進学では、UCAS(Universities and Colleges Admissions Service)という共通出願プラットフォームを使って志望校に出願します。

  • 出願期間:毎年9月〜翌年1月(医・獣医・オックスブリッジは10月15日締切)

  • 出願時に提出するもの:パーソナルステートメント(志望理由書)、推薦状、成績証明

  • 合格は「条件付き(conditional)」で出されることが多く、最終試験(IB、Aレベルなど)の結果によって正式に決まります


3. 世界ランキングに見るイギリスと日本の大学の実力

QS World University Rankings 2025によると、イギリスの大学は世界的に高く評価されています。一方、日本の大学もアジアではトップクラスですが、世界ランキングという視点ではやや控えめな位置づけです。

大学名

所在国

世界ランキング(2025)

オックスフォード大学

イギリス

2位

ケンブリッジ大学

イギリス

3位

インペリアル・カレッジ・ロンドン

イギリス

6位

UCL(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン)

イギリス

9位

エディンバラ大学

イギリス

22位

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)

イギリス

45位

東京大学

日本

28位

京都大学

日本

55位

この表からも分かる通り、東京大学や京都大学も世界的な評価はあるものの、イギリスの主要大学に比べるとランキング上の認知度には差があるのが実情です。これが、外資系企業や国際舞台での評価において影響を及ぼすこともあります。


4. 授業料と奨学金制度:費用は高いが、支援もある

授業料の比較

  • イギリス人・現地EU生:年間£9,250(約180万円)

  • 留学生(日本人含む):年間£20,000〜£40,000(約390〜780万円)

専攻や大学によって変動しますが、理系や医学系は授業料が高めです。実際のインペリアルは£40,000,オックスフォードは£50,000という話もあります。


奨学金制度の種類と取得方法

日本人留学生が利用できる奨学金制度には以下のようなものがあります:

  1. 大学独自の奨学金 多くの大学では、成績や志望動機に基づいて留学生向けの**Merit-based Scholarship(成績優秀者向け奨学金)**を用意しています。支給額は年間£2,000〜£10,000程度。 競争率は非常に高く、IBで40点以上やAAAのAレベル成績が期待されます。

  2. チーヴニング奨学金(Chevening) イギリス政府が運営する留学生向けの全額奨学金。ただし、修士課程が対象です。

  3. JASSO(日本学生支援機構)や民間財団 渡航費補助や一部生活費支援を受けられるものもありますが、対象は限られています。

確率性の現実:ほとんどの奨学金は成績上位数%の学生が対象であり、「申請すれば必ずもらえる」わけではありません。特にイギリスの大学側が提示する奨学金は「申請者多数の中からの選抜制」で、競争は激化しています。

5. 学生寮と生活費:ロンドンか地方かで大きく変わる

  • 寮費(年間):£6,000〜£12,000(約120万〜240万円)

  • 食費(月):£150〜£300(自炊中心)

ロンドンは物価・家賃ともに高いため、地方都市の大学(例:エディンバラ、ブリストルなど)の方がコストを抑えやすい傾向があります。


6. 卒業後のキャリア:Graduate Visaと永住権制度

イギリス政府は優秀な留学生を引き留めるため、**Graduate Visa制度(卒業生ビザ)**を導入しています。

  • 学部・修士卒業後に最大2年間の就労が可能

  • 雇用主のスポンサーは不要で、自由に職を探せます

  • その後、Skilled Worker Visa(雇用主のスポンサーあり)→ 永住権(ILR)申請へと進む道も

なお、学生が就労ビザを得た場合でも、両親や兄弟が永住権を取得できる制度は原則存在しません。 配偶者と18歳未満の子供のみが帯同ビザの対象です。


7. それでもイギリスを目指す若者たちへ

イギリスの大学進学は、学費・生活費・奨学金競争のハードルが高い一方で、世界中のエリートたちと肩を並べて学ぶ経験、そして卒業後の世界的な就職チャンスという大きなリターンがあります。

そしてそれは同時に、優秀な若者たちが日本ではなく、グローバルに活躍できる舞台を求めて海を渡るという現実を浮き彫りにします。日本の企業が「海外大学出身者」の実力を正しく評価する仕組みを整えなければ、今後さらに多くの若者が「戻ってこない」道を選ぶかもしれません。


まとめ

  • イギリス大学進学は、将来のキャリアにおいて強力な武器となる

  • 学費は高額だが、奨学金制度も存在する(競争率は非常に高い)

  • 日本とイギリスの「学歴の評価軸」の違いに注意が必要

  • 就労ビザ制度を活用すれば、イギリスでの長期滞在も現実的

早めの準備と情報収集、そして長期的な戦略が成功の鍵です。「世界で生きる力」を本気で手に入れたい方にとって、イギリスの大学進学は大きなチャンスとなるでしょう。


文:はる『ロンドン発・アラフィフ父のリスタートライフ』

ロンドン在住、アラフィフ世代の父が綴る、暮らしと学びと再構築の日々。海外での子育て、キャリアの再設計、日常に潜む哲学的な気づき――ただ前を向いて、自分らしい「これから」を丁寧に築くためのライフログです。

家族との暮らしを大切にしながら、自分自身の軸も柔軟にアップデートしていく。その過程で見えてきた気づきや工夫を、同じように変化の中にいる誰かに届けられたらと思っています。ロンドンの空の下から発信中。


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