【デューク・オブ・エディンバラ賞とは?】イギリスの子供たちが挑む自己成長プログラムの魅力と将来へのメリット
- haruukjp
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イギリスで多くの若者たちが挑戦する「デューク・オブ・エディンバラ賞(The Duke of Edinburgh’s Award、以下DofE)」をご存知でしょうか?
これは、14歳から24歳までの青少年が参加できる、自己成長・社会貢献・挑戦を軸にした教育プログラムで、学校や地域団体を通じて実施されています。
私自身もこのプログラムについて知っていたつもりでしたが、実際に息子が挑戦し始めてから、その奥深さと素晴らしさを実感するようになりました。この記事では、DofEの全体像、各段階の内容、取得方法、そして将来へのメリット、そして実体験から感じたことをまとめてお伝えします。
1. デューク・オブ・エディンバラ賞(DofE)とは?
DofEは、1956年にエディンバラ公フィリップ王配(エリザベス女王の夫)によって創設された青少年育成プログラムです。
目的は、「若者たちが困難に立ち向かい、責任ある市民に成長するための機会を与えること」。現在では世界130カ国以上に広がり、年間100万人以上が取り組んでいます。
このプログラムでは、参加者が自ら目標を立て、時間をかけて継続的に活動を行います。その達成度に応じて、ブロンズ(銅)・シルバー(銀)・ゴールド(金)の3段階のアワードが授与されます。
2. ブロンズ・シルバー・ゴールドの違い
● ブロンズ(Bronze Award)
対象年齢:14歳以上
所要期間:約3〜6か月
セクション:
ボランティア
スキル習得
フィジカル(運動)
アドベンチャラス・ジャーニー(2日間1泊の遠征)
私の息子も、現在このブロンズ賞に挑戦しています。つい最近も、2日間のキャンプ遠征に参加し、大きなリュックを背負って郊外の自然の中を歩いてきました。
帰ってきた日は、疲れきった表情でソファに倒れ込んでそのまま眠ってしまいましたが、起きてからは「やりきった!」という達成感に満ちた表情を見せてくれました。
その姿を見て、DofEが単なる課外活動ではなく、子どもが自分の力で何かを乗り越える成長の場であることを実感しました。
● シルバー(Silver Award)
対象年齢:15歳以上
期間:6〜12か月
遠征:3日間2泊
他のセクションも継続時間が延長
息子も「次はシルバーに挑戦したい」と話しており、今後どんな活動に取り組むのか、親としても楽しみです。
● ゴールド(Gold Award)
対象年齢:16歳以上
期間:12〜18か月
遠征:4日間3泊
追加セクション:5日間の「レジデンシャル・プロジェクト」(知らない人との共同生活)
ゴールドに到達する頃には、きっと息子もひと回り大きくなっていることでしょう。
3. 取得までの流れ
学校・地域のDofEセンターに申し込み
各セクションごとに目標設定(例:週に1回のボランティアなど)
活動記録を残す(デジタルログや紙)
アドベンチャラス・ジャーニーに参加
すべての活動が評価されるとアワード認定
親の立場からすると、どの活動も地味なようでいて、確実に子どもを成長させていることがわかります。
郊外を車で走っていると、大きなリュックを背負ってグループで歩いている若者たちを見かけることがあります。最近になって、「ああ、あれがDofEの遠征だったのか」と気づくようになりました。
4. 将来にどう役立つ?DofEの5つのメリット
1. 継続力と自己管理能力
→ 週ごとの活動を続ける中で、自主的に計画・実行する力が育ちます。
2. 社会性とチームワーク
→ 特に遠征では、仲間との協力が欠かせません。責任感やリーダーシップも自然と身に付きます。
3. 社会貢献の実感
→ ボランティア活動で「人の役に立つ」経験を重ねることで、社会とのつながりを持ちます。
4. 進学・就職での強み
→ ゴールド保持者は大学入試や就職活動で高く評価されます(UCASポイントの加算対象になることも)。
5. 自己肯定感と挑戦意欲
→ 「自分にもできた」という経験が、次の挑戦へと背中を押してくれます。
5. 親として見守って思うこと
最初は「そんなにハードなこと、うちの子にできるのかな?」と少し心配もありましたが、疲れ果てても満足そうに眠る息子の姿を見て、このプログラムの価値を確信しました。
活動を通じて、子どもが自分の可能性を信じ、自らの意思で次のステップへ進んでいく。DofEはまさに、「生きる力を育てる教育」だと感じています。
まとめ:DofEは人生を彩る「非認知能力」のトレーニング
DofEは、学力だけでは測れない「生きる力」を育てる教育プログラムです。自律・挑戦・協調・奉仕——それらすべてを通じて、子どもたちは未来の自分へと一歩一歩近づいていきます。
これから息子がシルバー、そしてゴールドへと進む中で、どんな成長を見せてくれるのか。親として寄り添いながら、同じようにDofEに挑戦している全国の若者たちを心から応援したいと思います。
郊外の道で見かけたリュック姿の子たちには、きっと未来が詰まっている。そう思うと、この社会全体が、少しだけ誇らしく見えてきます。
文:はる『ロンドン発・アラフィフ父のリスタートライフ』
ロンドン在住、アラフィフ世代の父が綴る、暮らしと学びと再構築の日々。海外での子育て、キャリアの再設計、日常に潜む哲学的な気づき――ただ前を向いて、自分らしい「これから」を丁寧に築くためのライフログです。
家族との暮らしを大切にしながら、自分自身の軸も柔軟にアップデートしていく。その過程で見えてきた気づきや工夫を、同じように変化の中にいる誰かに届けられたらと思っています。ロンドンの空の下から発信中。
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