遅すぎるかもしれない、とは思った。だが、それでも私はハリポタを読了した。しかも、2024年のアラフィフとして。それが今さらなのか、ちょうどいいタイミングなのかは、自分でも判断がつかない。だが、少なくとも言えるのは、この物語を読むという行為が私にとって遅すぎるものではなかった、ということだ。
ハリポタのシリーズは、1997年から2007年の間に7冊が刊行された。最終巻が出版されてからすでに17年が経過している。だから、熱心なファンの多くはずっと以前に物語を読み終え、ハリーの魔法の世界からは卒業しているだろう。けれど、私はその流れに乗り損ねたまま、長い時間を過ごしてきた。そしてようやく、この2024年になって読み終えたのだ。
なぜ今になってハリポタを読む気になったのか。それにはいくつかの理由がある。一つは、最近、イギリス文化への興味が強くなったことだ。イギリスの教会やマナーハウスといった歴史的建築物を訪れる機会が増え、その古びた石造りの風景に触れるたびに、私の中の想像力が目を覚ますような感覚を覚えた。魔法の学校もまた、そんなイギリスの風景の延長線上にあるのではないか。そう考えると、この物語を読まずにはいられなくなった。
読んでみると、想像以上に素晴らしい作品だった。映画は以前、子供たちと一緒に観たことがあったが、あくまで彼らのための娯楽として流していただけだった。けれど、本を開けば、映画の中の短いシーンが何ページにもわたって描写されている。描かれた情景は、読むたびに新しい発見を与えてくれた。作者の文章は、読む者を魔法の世界へ引き込み、その世界にすっかり浸らせてくれる力がある。
物語を読み終えると、私はある種の「ハリポタロス」に陥った。物語が終わってしまった喪失感だ。登場人物たちと一緒に過ごした時間が濃密だったからこそ、その後に訪れる静寂が少し物足りなく感じる。それはきっと、良い本を読んだ証拠なのだろう。
さて、次は何を読もうか。イギリス文化を学べる作品にまた挑戦したいと思う。イギリス文学は長編が多いが、それを苦に感じることはない。なぜなら、本を開けば、その中に広がる別の世界で新しい冒険が待っているのだから。
文:はる『ロンドンでの失職、生き残りを綴ったブログ。小学生と中学生の子供を持つアラフィフサラリーマンが、ロンドンで長年働いた会社からいきなり(当日)の解雇通告を受け、その瞬間からオフィスにも戻れず退職。フリーランスで僅かな食費を稼ぐも、その後の就職活動が難航中。転身開始から734日目を迎えた。(リンク⇨733日目の記事)』
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