日本の運転免許を持っている人がイギリスで車を運転しようとすると、最初の12ヶ月間は国際免許を使うことができる。これはいわば、異国の道路を駆け抜けるための短期間のパスポートのようなものだ。しかし、その12ヶ月が過ぎるとどうなるか。そこで選択肢の一つとして浮上するのが、日本の免許をイギリスの免許に書き換えるという方法だ。
免許を書き換えた場合、イギリスで運転できる車両にはいくつかの制限がある。総重量が3.5トン以下で、最大定員が運転者を除いて8人以下の乗用車がその対象だ。そしてトレーラーを牽引する場合には、車両とトレーラーの合計重量が3.5トン以下であること、さらにはトレーラー単体の重量が車両の空車時の重量を超えないことが求められる。このように書くと少し技術的な話に思えるが、実際には冷静に計算すれば何の問題もない。
スクーターや原付バイクもイギリスで運転可能だ。ただし、その条件は排気量50cc以下、または最高速度が時速45km未満と定められている。このあたり、法律の仕組みというのはどこの国でも似たようなものだと感じる。
免許の更新について考えてみよう。イギリスでは70歳未満の人は10年ごとに免許を更新することになっている。10年というのは長いようで、意外とあっという間だ。そして70歳になると更新のスパンが3年に短縮される。その後は健康状態によって医師の診断書が求められることもあるという。
私がこの仕組みを知ったとき、日本との違いに少し驚いた。日本では通常、運転免許の更新は5年おきだが、違反がある場合は3年おきになる。そして70歳を超えると、イギリスと同じく3年ごとに更新する。ただ、日本の方が厳格で、75歳になると更新時に認知機能検査が義務づけられる。この点が、イギリスとは少し異なる。
イギリスの道路を走ると、左側通行に右ハンドルという仕組みにどこか親しみを感じる。高速道路では、日本の東名高速を走っているような感覚にさえなる。異国の地でこの感覚を味わえるのは、私にとって少し不思議な体験だ。
私の両親も日本の田舎暮らしでまだ車を運転している。先日、母から「認知機能検査を受けた」という話を聞いた。免許を手放すというのは、特に地方で暮らす高齢者にとって簡単な決断ではない。それが日常生活を大きく支えているからだ。
イギリスでは70歳までは10年おきの更新で、そのサイクルは少し忘れた頃にやってくる。日本と比べて更新の手間が少ない分、運転を続けるハードルが低いのかもしれない。一方で、運転を続けることの安全性については、どの国でも議論が続いているようだ。
車を運転するという行為は、単なる移動手段以上の意味を持つことがある。それは自由であること、そして自分自身で道を切り開く力を象徴している。イギリスで運転することを考えたとき、それはまるで知らない街で地図を片手に歩き始めるような感覚だった。少し不安で、でも同時にワクワクする。
文:はる『ロンドンでの失職、生き残りを綴ったブログ。小学生と中学生の子供を持つアラフィフサラリーマンが、ロンドンで長年働いた会社からいきなり(当日)の解雇通告を受け、その瞬間からオフィスにも戻れず退職。フリーランスで僅かな食費を稼ぐも、その後の就職活動が難航中。転身開始から759日目を迎えた。(リンク⇨758日目の記事)』
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