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1930年代の家に住む私と、コッツウォルズのスレート屋根の話

  • Writer: haruukjp
    haruukjp
  • 2 minutes ago
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ロンドン郊外の静かな住宅街に、1930年代に建てられた私の家が佇んでいる。時折、雨が降りしきる日にも、屋根はしっかりとその役目を果たし、雨漏り一つない。地震の心配が少ないイギリスでは、古い家屋が今もなお健在であることが珍しくない。この家もまた、時の流れを感じさせる佇まいを保ちつつ、日々の暮らしを支えてくれている。

先日、コッツウォルズ地方を訪れる機会があった。そこには、まるで絵本の中から飛び出してきたかのような、蜂蜜色の石で造られた家々が並んでいた。「ハニーストーン」と呼ばれるこの石は、太陽の光を浴びて温かみのある色合いを放ち、訪れる人々を魅了する。屋根には、石を重ねたスレートが使われており、上部にいくほど瓦の大きさが小さくなる独特のデザインが特徴的だ。これは、重い石を屋根に上げる際の職人たちの工夫から生まれたものだという。

ロンドンの住宅とコッツウォルズの家々を比べると、その違いに驚かされる。ロンドンでは、19世紀後半から20世紀初頭にかけて、ウェールズ産のスレートが屋根材として広く使用されていた。しかし、第二次世界大戦後の住宅不足を背景に、コンクリート製の屋根瓦が普及し始めた。特に「Redland 49」などのコンクリート瓦は、その低価格と施工の容易さから広く採用され、イギリス全土で一般的な屋根材となった。

一方、コッツウォルズでは、地元産の石を使用した伝統的な建築様式が今もなお息づいている。石積みの家々は重心が低く、可愛らしいフォルムをしている。屋根のスレートは、上部にいくほど瓦の大きさが小さくなるデザインで、雨や雪溶け水も上手く流れるよう工夫されている。また、イングリッシュオークの厚い無垢材で造られた玄関ドアには、手作りの黒いアイアンで出来たハンドルや蝶番が使用され、雰囲気満点のアクセントとなっている。

このように、イギリス国内でも地域によって住宅の屋根材や建築様式に違いがある。ロンドンの住宅が時代と共に変遷してきたのに対し、コッツウォルズでは伝統的な建築様式が守られている。それぞれの地域が持つ独自の魅力を感じながら、これからもイギリスの住宅事情を探求していきたい。


文:はる『ロンドン発・アラフィフ父のリスタートライフ』

ロンドン在住、アラフィフ世代の父が綴る、暮らしと学びと再構築の日々。海外での子育て、キャリアの再設計、日常に潜む哲学的な気づき――ただ前を向いて、自分らしい「これから」を丁寧に築くためのライフログです。

家族との暮らしを大切にしながら、自分自身の軸も柔軟にアップデートしていく。その過程で見えてきた気づきや工夫を、同じように変化の中にいる誰かに届けられたらと思っています。ロンドンの空の下から発信中。


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