11歳で海外へ旅立つ。立教英国学院という選択肢について考える
- haruukjp
- Apr 26
- 3 min read

私が11歳だった頃を思い出してみる。あの年齢でたった一人、遠い異国で暮らすなんて、想像もできなかった。イギリス。冷たい霧と、どこかひんやりとした空気に包まれた国だ。そんな場所に、今も日本の子どもたちが単身で送り込まれている。目的はただ一つ。安定した大学進学と、その先にある人生のレールを確実に手に入れるためだ。
立教英国学院。イングランド南部のウェストサセックスに位置するこの全寮制の学校は、日本のカリキュラムをベースにしながら、英語力を磨き、グローバルな視野を育てる場所だ。小学5年生から高校3年生までの子どもたちが、親元を離れて生活する。11歳——つまり小学校5年生から、寮生活が始まるのだ。
もちろん、簡単な世界ではない。親の温もりも、家族の食卓もない。夜中に目が覚めても、誰も背中をさすってはくれない。それでも、子どもたちは自分の力で立っていかなければならない。孤独と向き合うこと、そしてそれを乗り越えること。それが、ここでの最初の試練だ。
私自身、もし自分の子どもが11歳で海外に一人で暮らすと言ったら、たぶんためらうだろう。心配でたまらない。でも、現実にはそういう選択をする家庭が確かに存在する。理由は明白だ。受験戦争のプレッシャーから解放し、ストレートに大学進学まで導いてあげたい。そう願う親たちがいる。そして、それには莫大な費用がかかる。学費、寮費、渡航費……すべて含めて、かなりの覚悟が必要だ。
要するに、これは"選ばれた家族"のためのルートだ。お金があり、なおかつ子どもの未来を"確実に"設計したいと願う家庭。彼らにとって、立教英国学院は一つの答えになる。
正解も、不正解も、ここにはない。子どもにとって良いか悪いかも、簡単には言えない。ただ一つ言えるのは、生徒がいる限り、この仕組みには確実な需要があるということだ。寮の灯りは消えることなく、毎年、新たな旅立ちを見送るだろう。
異国の夜。11歳の小さな肩に乗せられた未来。その重みを思うと、私は静かに祈るしかない。彼らが、自分の足で世界を歩き始められるように。
文:はる『ロンドン発・アラフィフ父のリスタートライフ』
ロンドン在住、アラフィフ世代の父が綴る、暮らしと学びと再構築の日々。海外での子育て、キャリアの再設計、日常に潜む哲学的な気づき――ただ前を向いて、自分らしい「これから」を丁寧に築くためのライフログです。
家族との暮らしを大切にしながら、自分自身の軸も柔軟にアップデートしていく。その過程で見えてきた気づきや工夫を、同じように変化の中にいる誰かに届けられたらと思っています。ロンドンの空の下から発信中。
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