2024年の冬、私はふと思い立ち、運動不足を解消するために散歩を始めることを決心した。散歩そのものは嫌いではない。むしろ嫌いでないがゆえに始めたくなるのだ。ただ、どうせならもっと楽しく歩ける方法はないものかと考え、ふと犬と一緒ならどうだろうと思いついた。犬と一緒なら、散歩という単純な行為が少しだけ豊かになる気がしたのだ。
そうして見つけたのが、犬を貸してくれるというサイトだった。興味深いサービスだと思い、早速登録してみた。近所の犬を飼っている人たちにメッセージを送り、散歩の相棒を探すことにした。
犬を借りるのは簡単ではない
正直なところ、私はもっと簡単な話だと思っていた。犬を貸す側が積極的で、料金も払っている以上、「借りたい」と言えばすぐに貸してもらえるものだと。しかし現実はそう単純ではないらしい。貸し手たちは警戒心が強く、初対面の相手に犬を預けることに慎重なのだ。
これまで何人かにメッセージを送ったが、返信が来ることは少ない。ひょっとすると、私がいきなり「アジア人の中年男性」であることに一抹の不安を覚えさせているのかもしれない。少なくとも私の想像ではそうだ。
もしこれが、たとえば私の娘が登録してメッセージを送ったなら、事情はもっと違ったかもしれない。しかし今のところ、私は地道にメッセージを送り続けるしかない。
息子と散歩する朝
そんなわけで、犬が見つかるまでは息子を散歩のパートナーにすることにした。息子は「犬の代わり」にはならないけれど、それでも晴れた朝、息子と近所のウォーキングコースを歩くのは悪くない。
今朝は雲一つない青空が広がり、散歩には理想的な天気だった。私たちは1時間ほど歩き回り、その間にたくさんの犬連れの人々に出会った。彼らは自由に犬を放し、ボールを投げて遊ばせたりしている。私はその光景を少し羨ましい気持ちで眺めていた。そして、自分もいつか、犬と一緒にこんな風に歩ける日が来るのだろうかと想像した。
粘り強くメッセージを送り続ける
借りたい犬が見つかるためには、まず貸し手が私に連絡を取ってくれる必要がある。しかし、それが簡単でないことはよくわかっている。だからこそ、私は諦めず、粘り強くメッセージを送り続けるつもりだ。
できれば冬休みの間に犬が見つかり、子供たちと一緒に犬との散歩を楽しむのが私の目標だ。それは小さな夢に過ぎないかもしれないが、そうした小さな夢が日常の景色を変える力を持っていることを、私はよく知っている。
文:はる『ロンドンでの失職、生き残りを綴ったブログ。小学生と中学生の子供を持つアラフィフサラリーマンが、ロンドンで長年働いた会社からいきなり(当日)の解雇通告を受け、その瞬間からオフィスにも戻れず退職。フリーランスで僅かな食費を稼ぐも、その後の就職活動が難航中。転身開始から761日目を迎えた。(リンク⇨760日目の記事)』
最近の記事
おすすめの記事
Comentarios