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イギリスの教会ってどんなところ?住んでわかった宗教あるある&豆知識

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イギリスに住んでいたり旅行で訪れたりすると、街のあちこちで目に入ってくる教会。荘厳な大聖堂から、住宅街の中にひっそりとある教会まで、見た目も雰囲気もバラバラ。

「これって全部同じキリスト教なの?」「パリッシュって何?」「カトリックとプロテスタントってどう違うの?」…などなど、疑問が尽きないのがイギリスの教会事情です。

私も最初は全然わからなかったので、今回ちょっと調べてみました!

というわけで、この記事では「イギリスの教会ってこうなってるんだ!」という基本情報をわかりやすくご紹介します。現地でのあるあるネタや面白い違いなども交えて、ぜひ一緒にイギリスの教会の世界をのぞいてみましょう。


イギリスのキリスト教事情:大まかに分けると?

イギリスは長い歴史を持つキリスト教国で、現在でも多数の教会が存在しています。ただし、「キリスト教」といってもいくつかの宗派があり、大きく分けると以下のようになります:

  1. イギリス国教会(Church of England) – 一番メジャー

  2. カトリック教会(Roman Catholic Church)

  3. プロテスタントの自由教会(Free Churches) 

    ・バプティスト(Baptist) 

    ・メソジスト(Methodist) 

    ・ペンテコステ派(Pentecostal) など

それぞれどんな特徴があるのか、簡単に見ていきましょう。


イギリス国教会(Church of England)って?

「イギリス国教会」とは、英語で Church of England(CofE)。その名の通り、イングランドの“国の宗教”です。実はこの教会、1534年にヘンリー8世がローマ教皇と決裂して作ったという、かなりドラマチックな歴史を持っています(離婚したくて…という理由だったのも衝撃)。

特徴:

  • プロテスタント系ではあるけど、カトリック的な儀式も残している

  • 王室が「最高統治者」となっている

  • 多くの地域に “パリッシュ(Parish)=教区” がある

つまり、イギリス国教会の教会は、地域の中核的な存在。田舎町に行くと、必ずと言っていいほどパリッシュ・チャーチが1つあります。地元のお祭りやフェアなども、この教会が中心だったりします。


「パリッシュ(Parish)」って何?

これは「教区」と訳されますが、日本人にはちょっとピンと来ないかも。イギリスでは、町や村の中に小さな単位の「教区(Parish)」があって、それぞれに教会と牧師さん(Vicar)がいるのが基本形です。

たとえば、「St. Mary’s Parish Church」なんて名前を見たら、それはその地域の中心となる教区教会のこと。教区の人たちは普段からその教会で結婚式を挙げたり、お葬式をしたり、クリスマスやイースターの行事を楽しんだりします。


カトリックとの違いは?

「カトリック」はバチカン(ローマ教皇)を中心とする、世界中で信者が一番多いキリスト教の宗派。イギリスにもカトリックの信者はいますが、少数派です(特にイングランドでは)。

でも、スコットランドや北アイルランドではカトリックの割合が多い地域もあり、政治や歴史と絡んで結構複雑な話にもつながります。

項目

イギリス国教会

カトリック

洗礼

幼児洗礼あり

幼児洗礼あり

礼拝の言語

英語

英語またはラテン語

指導者

英国王が名目上のトップ

ローマ教皇

聖職者の結婚

OK

原則NG

バプティストやプロテスタントの自由教会は?

プロテスタントの中でも、「自由教会(Free Churches)」と呼ばれる非国教の教会があります。

たとえば:

  • バプティスト(Baptist):信仰告白した人だけが洗礼を受ける(しかも全身浸かる!)

  • メソジスト(Methodist):社会活動を重視した教派

  • ペンテコステ派(Pentecostal):聖霊体験(異言など)を重視する、やや情熱的な教派

街角で「Baptist Church」「Methodist Chapel」などの看板を見かけたら、それは国教会ではない独立系の教会です。


教会あるある&イギリスの小ネタ

  • 教会の庭にお墓があるのが普通! 最初はびっくりしますが、歴史ある教会ほどたくさんのお墓が並んでいます。

  • 教会は地域のイベント会場でもある:バザーやクラフトマーケット、ミニコンサートなどを開催しているところも。

  • 「教会に行く=信者」じゃない:紅茶会や子育てクラブなど、誰でも参加できるイベントが多く、信仰がなくてもウェルカムな雰囲気。

  • 実はイースターの方が大事? イギリスの教会では、クリスマスよりも復活祭(Easter)の方が宗教的には重要とされています。


アイルランド、スコットランド、ウェールズの宗教事情は?

イギリス本土(特にイングランド)ではイギリス国教会が主流ですが、スコットランド・ウェールズ・アイルランド(北アイルランド含む)では、またちょっと事情が異なります。


北アイルランド:宗教と政治が深く絡む

北アイルランドでは、カトリックとプロテスタントの対立が非常に根深く、歴史的にも政治的にも敏感な問題です。

  • カトリック系住民:アイルランド共和国との統一を望む(ナショナリスト)

  • プロテスタント系住民:イギリスとの連合維持を支持(ユニオニスト)

この宗教的な分断は、1960〜1990年代にかけての「北アイルランド紛争(The Troubles)」にもつながり、今も学校や居住区が宗派ごとに分かれている現実があります。


アイルランド共和国:カトリックが圧倒的多数

南側のアイルランド共和国では、ローマ・カトリック教会が国民の7〜8割を占め、かつては憲法でもカトリックに特別な地位が与えられていました(現在は改正済み)。

ただし最近では教会の影響力が弱まっており、若い世代では「信仰はあるけど毎週ミサには行かない」層も増えています。


スコットランド:長老派が中心

スコットランドの国教会は「スコットランド教会(Church of Scotland)」で、長老派(Presbyterian)という別の流れに属します。

グラスゴーなどでは、サッカークラブ(例:セルティック vs レンジャーズ)にすら宗教的背景が絡んでおり、生活の中に宗派の影響が見え隠れしています。


ウェールズ:自由教会が強かった地域

ウェールズには「ウェールズ国教会(Church in Wales)」がありますが、イングランド国教会から分離した独立組織です。

さらに特徴的なのは、19世紀にはバプティストやメソジストが非常に盛んだったという点。一般庶民の間で信仰と地域活動が密接につながっていました。


牧師と神父の違いって?

イギリスの教会を見て回っていると、看板に「Father ○○」と書いてある場合もあれば、「Rev.(Reverend)○○」「Vicar ○○」という表記もありますよね。

でもこれ、全部「キリスト教の聖職者」なんです。ただし、呼び方や役割が違うのは、その人が属している宗派(教派)が違うからなんです。

🔹 神父(しんぷ)=カトリック教会の聖職者

  • カトリック教会(Roman Catholic Church)の聖職者は「神父」と呼ばれ、英語では「Father(ファーザー)」と呼ばれます。

  • 原則として独身で、人生を神に捧げる覚悟をもって任命されます。

  • ミサの執行、告解(懺悔の聞き取り)、洗礼、葬儀など、宗教的な儀式を広く担当します。

カトリック系の教会に入ると、礼拝の雰囲気が厳かで、十字架やマリア像など装飾が豊かなのも特徴です。

🔹 牧師(ぼくし)=プロテスタント系の教会の指導者

  • 一方、プロテスタント系(イギリス国教会、バプティスト、メソジストなど)では、「牧師(Pastor / Minister)」と呼ばれる聖職者が中心です。

  • 結婚・家庭を持つことが可能で、女性牧師も認められている教派が多いです。

  • 日曜礼拝の説教や、結婚式・葬式・洗礼などを担当します。

日本語だと「牧師さん」と親しみを込めて呼ばれますが、英語圏では「Reverend(レヴァレンド)」や「Pastor(パスター)」といった呼び方が一般的です。


Vicar(ヴィカー)って何者?

特にイングランドでは「Vicar(ヴィカー)」という肩書きをよく目にします。これは、イギリス国教会(Church of England)に属する教区付きの牧師のことです。

🔹 Vicarの役割とは?

  • 各地域の「パリッシュ(教区)」を任され、教会を運営します。

  • 礼拝の司式、説教、洗礼・結婚式・葬儀などを担当。

  • 地元の学校や病院、福祉施設との関わりも深く、まさに「地域密着型の牧師さん」です。

教会のすぐ隣に「Vicarage(ヴィカレッジ)」という牧師館がある場合も多く、Vicarはそこに家族と一緒に住みながら地域の人々と関わっています。

それぞれの違いをまとめると…

呼び名

所属

結婚

女性の就任

役割

神父(Father)

カトリック

❌ 原則NG

❌ 原則不可

ミサ、告解、洗礼、葬儀など

牧師(Pastor / Minister)

プロテスタント

✅ OK

✅ 教派による

説教、礼拝、結婚式、地域活動

Vicar(ヴィカー)

イギリス国教会

✅ OK

✅ 多い

教区付きの牧師。地域に密着

ちょっとしたイギリスらしい豆知識

  • 教会の前を通りかかると、「The Vicar is in(ヴィカー在宅中)」という可愛い看板が出ていることも!

  • 子どもたちがVicarに「Hello Reverend!」と元気にあいさつする姿も、地域の風景の一部。

  • 最近では女性Vicarも増えており、「The Vicar of Dibley」という人気コメディドラマでも女性牧師が主人公として登場しています。


教会と人々のつながりを感じて

こうして見てみると、「神父」「牧師」「Vicar」といった聖職者の呼び方や役割の違いは、単なる宗教的な制度ではなく、地域の暮らしや文化と密接につながっているのがわかります。

観光で教会を訪れるだけでは気づかないような、「教会と人の距離感」を感じると、イギリスでの教会の存在がまた違って見えてくるかもしれませんね。


まとめ:イギリスの教会は多様で奥深い

イギリスの教会と一口に言っても、宗派・歴史・役割が多様でとても奥が深いことがわかりました。

「教会=宗教施設」だけでなく、地域の文化・人々の生活・歴史そのものに密接につながっていて、単なる観光名所以上の意味を持っています。

今度、教会を訪れるときは「この教会は国教会かな?バプティストかな?」とちょっと気にしてみると、見え方がガラッと変わるかもしれません。


※この記事は「イギリスに住んでいて教会についてもっと知りたくなった私」が、自分なりにいろいろ調べてまとめてみたものです。間違ってたらごめんなさい、でも誰かの参考になったら嬉しいです!


文:はる『ロンドン発・アラフィフ父のリスタートライフ』

ロンドン在住、アラフィフ世代の父が綴る、暮らしと学びと再構築の日々。海外での子育て、キャリアの再設計、日常に潜む哲学的な気づき――ただ前を向いて、自分らしい「これから」を丁寧に築くためのライフログです。

家族との暮らしを大切にしながら、自分自身の軸も柔軟にアップデートしていく。その過程で見えてきた気づきや工夫を、同じように変化の中にいる誰かに届けられたらと思っています。ロンドンの空の下から発信中。


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