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イギリスの中学受験「イレブンプラス」と補欠待機という名の長い春

  • Writer: haruukjp
    haruukjp
  • 7 days ago
  • 3 min read


イギリスには「イレブンプラス(11+)」と呼ばれる中学受験制度があります。これは、主にグラマースクール(選抜制の公立中高一貫校)への入学を希望する児童を対象とした選抜試験です。試験は年によって異なりますが、通常は小学6年生が始まる9月頃から10月末までに実施され、その結果は翌年の3月初旬に発表されます。

この試験に向けて、多くの家庭が1年以上かけて準備を重ねます。家庭教師をつけたり、模擬試験を受けさせたりしながら、第一志望の学校合格に向けて全力を尽くすのです。

合否発表と補欠の現実

ストレートで合格を勝ち取れる子もいますが、**一部の生徒は“ウェイティングリスト(補欠リスト)”**に載ることになります。これは、入学枠が埋まったあとに辞退者が出た場合、順番に繰り上げて合格となる仕組みです。

この「補欠待ち」の期間こそが、親にとっても子どもにとっても精神的に最もつらい時間。すでに第2希望の学校からは入学案内が届き、制服の準備なども始まっているのに、第一希望の学校からの連絡はいつ来るのかわからない。いや、来るかどうかすらわからないのです。


辞退による繰り上げのタイミング

実際、4月頃から少しずつ動きが出始めます。第一志望に合格したものの、通学距離の問題などで辞退する生徒が現れるのです。そうなると、補欠リストに載っている子どもたちが、成績順に繰り上げで合格となっていきます。

とはいえ、5月になってもなかなか進展がないことも。しかし、私立校の入学締切が近づくにつれ、私立とグラマースクールを併願していた家庭が私立を選び始めると、一気に補欠の動きが加速します。10人単位で一気に繰り上がることもあるのです。


「補欠でも合格」は誇りである

この補欠待機の期間は、まさに心が休まらない毎日。入学が決まるまでの数週間、あるいは数か月は、不安と希望が入り混じった感情のなかで過ごすことになります。しかし、待ち続けた末に入学が決まったときの喜びは格別です。

「補欠で合格」というと、どこかネガティブな印象を持つ方もいるかもしれませんが、それは違います。厳しい試験を乗り越えて、入学が認められたという事実に変わりはありません。


全国で起きる親子のドラマ

このような補欠からの繰り上げ合格のドラマは、イギリス全土のグラマースクールで日常的に起きています。中学受験を経験するご家庭にとって、イレブンプラスはただの試験ではなく、人生の分岐点の一つ。

補欠での待機という、不確実でストレスの多い経験もまた、受験の一部。結果がどうであれ、子どもたちが頑張った1年間は、将来きっと大きな意味を持つことでしょう。


文:はる『ロンドン発・アラフィフ父のリスタートライフ』

ロンドン在住、アラフィフ世代の父が綴る、暮らしと学びと再構築の日々。海外での子育て、キャリアの再設計、日常に潜む哲学的な気づき――ただ前を向いて、自分らしい「これから」を丁寧に築くためのライフログです。

家族との暮らしを大切にしながら、自分自身の軸も柔軟にアップデートしていく。その過程で見えてきた気づきや工夫を、同じように変化の中にいる誰かに届けられたらと思っています。ロンドンの空の下から発信中。


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1 comentario


Nao Folan
Nao Folan
5 hours ago

はるさん、こんにちは!まさに我が家のことが書かれておりコメントせずにはいられませんでした。。例年ならばストレート合格確定の点数 今年はどういうわけか競争がいつにも増して激化 私立校のVAT20%課税の影響でしょうか? 

補欠待機の日々過ごしておりますが家族が毎日元気でいてくれるだけでありがたい😀😀😀

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