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人生には、ときどき微妙な岐路がある。目の前に広がる道がいくつかあって、どれを選ぶべきか自分でもわからない。そこに標識が立っているわけでもなければ、地図があるわけでもない。ただ、進むべき方向がわからないまま立ち尽くすしかない。そして、その時間はなぜだか妙に長く感じられる。
ロンドンの冬の空のように、どこか曖昧で灰色がかった夢が私の前に広がっている。それは「サラリーマンとして再び働く」という夢だ。
弁護士になりたくて何十年も司法試験に挑み続ける人がいると聞いたことがある。最近では試験を受けられる回数が制限されたという話もある。それはそれで、諦めるきっかけを与えてくれるかもしれない。
私のサラリーマン生活への復帰も、それに似た状況なのかもしれない。ロンドンでの就職活動を続けているが、どうにも糸口が見つからない。もし家族がいなかったら、日本に帰りたいと思うこともある。ただ、日本に帰ったところで仕事が保証されているわけではない。それでも、母語という盾を持って戦える環境なら、少しは楽なのではないかと想像してしまう。
それでも、ロンドンでのサラリーマン生活は、今の私にとって手の届かない夢となっている。そしてその夢を追い続けるべきか、あるいは諦めて新しい道を切り開くべきか、その判断はまだつかない。
気づけば、サラリーマンに戻りたいと思いながら、すでに2年が経過している。人はよく「引き際が大事だ」と言うが、それがどこなのかを判断するのは本当に難しい。一番恐ろしいのは、すべてが中途半端なまま時間だけが過ぎていき、10年後に何も達成できていない自分に気づくことだ。
今はまだ体力的に対応できるが、これからは衰えとの戦いが始まる。体力維持のための運動を日々のスケジュールに組み込むべきだとわかっているが、それすらも億劫に感じるときがある。
家族を持つということは、ただ自分の夢だけを追いかけるわけにはいかないということだ。私が父親としてどのようなステータスを持つべきなのか、それを探し続けている。家族全員が満足できる選択肢を見つけることができるのか。そして、私自身がそれに納得できるのか。それはまだ答えが出ない問いだ。
サラリーマンになるという夢を追い続けるのか、それとも別の道に進むべきなのか。引き際を見極める時期が近づいているのかもしれない。
文:はる『ロンドンでの失職、生き残りを綴ったブログ。小学生と中学生の子供を持つアラフィフサラリーマンが、ロンドンで長年働いた会社からいきなり(当日)の解雇通告を受け、その瞬間からオフィスにも戻れず退職。フリーランスで僅かな食費を稼ぐも、その後の就職活動が難航中。転身開始から744日目を迎えた。(リンク⇨743日目の記事)』
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