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有給休暇30日のサラリーマンと無給休暇120日の自営業

  • Writer: haruukjp
    haruukjp
  • 12 minutes ago
  • 4 min read


時間は金より尊くて、ちょっと怖くて、でも愛おしい。

かつて、私はいわゆる「正社員」、いわゆる「サラリーマン」だった。有給休暇は年間30日。とはいえ、実際には「この日、休んでいいのか…?」と周囲をうかがい、誰かが体調不良で休んだら「じゃあ今日はやめておくか…」と引き下がる日々。結局、全て取れずに会社へ売った日数が何日かあった。

「福利厚生完備」「安定した収入」「週休二日」。求人広告に並ぶこの言葉たちに、どれだけの人が救われ、そして縛られているだろうか。


無給休暇120日の世界へようこそ

そんな私も、今では晴れて(?)自営業。つまり、働かなければ1円も入ってこない生活だ。年間の「有給」はゼロ。でも、「無給休暇」なら毎月でも取れる。いや、むしろ取ってしまう。いや、気づいたら取れてしまっている。…そう、気づけば120日くらい、私は「働いていない」ことがある。

しかも、無給である。何の補填もない。文字通り、「休めば収入はゼロ」。「サラリーマンはつらい」などと嘆いていた頃の自分に、こう言ってやりたい。

「おまえ、月末の口座振込のありがたさを知らないな?」と。

社畜時代には見えなかったもの

でも、それでも。私はこの不安定な、計画性のない、報われるかどうかも分からない暮らしを、なぜか前より楽しめている。

それはおそらく、時間の使い方が自分のものになったからだ。

サラリーマン時代、睡眠時間は5〜6時間。朝の電車で目を閉じることが唯一の瞑想だった。子どもが寝静まった深夜にやっと一息。でも今は、子どもが帰ってくる時間には家にいる。夜は一緒に晩ごはんを食べる。なぜか昼寝もできてしまう。そして、そんな時間の中で、自分が本当に大切にしたいものが少しずつ見えてきた。

もちろん、収入はサラリーマン時代のように安定していない。月末には「これ…あと何日でいくら必要だ…?」と電卓を叩くこともある。それでも不思議と、「人生、今の方がラクかも」と思う日が増えた。


「生きること=稼ぐこと」ではなかった?

会社員だった頃は、「生活=仕事」「自分の価値=会社での成果」だった。仕事がうまくいかない日は、自分がダメ人間に思えた。休みの日すら、「メール返ってきてないかな」「資料だけ先に作っておくか」なんてやっていた。

それが今は、「今日は何も売れてないし、やることもないから、子どもと図書館でも行くか」と思える。売り上げゼロでも、その日に得られた笑顔や、話せた会話や、空を見上げる時間があると、それなりに満たされる。

時間は、お金と違って貯めておけない。でも、お金よりも確実に「人生の実感」をくれる。


自営業の120日休暇は、「逃げ」ではなく「発見」

自営業になって気づいたのは、時間の自由は、怖さとセットでやってくるということだ。何もしなければ、本当に何も起きない。自分で決めないと、何も動かない。「自由って、こんなに手強かったのか」と思う日もある。

でも、時間と向き合いながら、自分なりのリズムや習慣を作り出し、子どもと笑って、よく眠って、余白に気づく力を取り戻していくプロセスは、ある意味で「人生の本質」に触れるような感覚だ。


人生の「豊かさ」は、通帳の数字じゃ測れない

サラリーマン時代には得られなかった時間が、今はある。確かに収入は減った。でも、「自分の時間をどう使うか?」を考える機会は確実に増えた。

それはまるで、会社に所属していた頃には見えなかった景色。「週末だけの自由」から、「毎日ちょっとずつ自由」へ。会社の肩書きが消えた代わりに、「自分」という名前で生きていくことに、少しずつ慣れてきた。

有給休暇30日もらえる会社員はすごい。でも、無給休暇120日の自営業も、なかなか悪くない。

なにより、「生きるって、もっと自分のペースでいいんだ」と思えるようになったから。たぶん今の私は、昔の私より少しだけ「自由」だ。


文:はる『ロンドン発・アラフィフ父のリスタートライフ』

ロンドン在住、アラフィフ世代の父が綴る、暮らしと学びと再構築の日々。海外での子育て、キャリアの再設計、日常に潜む哲学的な気づき――ただ前を向いて、自分らしい「これから」を丁寧に築くためのライフログです。

家族との暮らしを大切にしながら、自分自身の軸も柔軟にアップデートしていく。その過程で見えてきた気づきや工夫を、同じように変化の中にいる誰かに届けられたらと思っています。ロンドンの空の下から発信中。


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