円安が進む昨今、日本で買い物をすると、何もかもが驚くほど安く見える。そんな話を聞きつけた外国人たちは、こぞって日本への旅行を計画する。最近、私の周囲でも「次の休暇は日本へ」という声を、まるで季節の移り変わりを感じるかのように耳にする。
そんな中、円安の恩恵を受けて、日本で車を購入しイギリスへ持ち帰りたいと考える人もいる。イギリスでの軽自動車の相場は、およそ1万5000ポンド(日本円にして300万円前後)。一方、日本国内では同等の車が100〜200万円程度で手に入る。半額ほどの価格差に惹かれても無理はない。だが、安易に手を出すと、思いがけないコストが重なるのが現実だ。
例えば、日本からイギリスへの車両輸出には、まず60万円ほどの輸出費用がかかり、さらに価格の1%程度の海上保険も必要になる。イギリスに到着してからも、車両価格や輸送代金に対して33%の輸入税がかかるほか、輸入に伴う諸費用やDVLAの登録税(およそ400ポンド)も見積もっておくべきだ。これらを合算すると、日本で300万円の車を購入しても、イギリスに到着する頃には総額530万円ほどになる計算だ。相場としては、日本国内の購入価格の約1.8倍になると考えておくのが無難だろう。
さらに留意すべきなのは、輸入車の維持費だ。ヨーロッパ車の保険料は比較的安価に抑えられることが多いが、日本からの輸入車に関しては、年間3000〜6000ポンドという高額な保険料が課せられる場合もある。こうした保険料が続くと、3年も経てば現地で車を購入する方が総費用として安く済むこともある。
こうして考えると、日本車の輸入には相当の覚悟が必要だ。確かに円安は魅力的だが、安いからといって何もかもが「お得」になるとは限らないのだ。
文:はる『ロンドンでの失職、生き残りを綴ったブログ。小学生と中学生の子供を持つアラフィフサラリーマンが、ロンドンで長年働いた会社からいきなり(当日)の解雇通告を受け、その瞬間からオフィスにも戻れず退職。フリーランスで僅かな食費を稼ぐも、その後の就職活動が難航中。転身開始から704日目を迎えた。(リンク⇨703日目の記事)』
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