小学生と中学生の子供を持つアラフィフサラリーマンが、ロンドンで長年働いた会社からいきなり(当日)の解雇通告を受け、その瞬間からオフィスにも戻れず退職。フリーランスで僅かな食費を稼ぐも、その後の就職活動が難航中。無職生活671日目を迎えた。(リンク⇨670日目の記事)
イギリスでの生活は、今や完全にキャッシュレス化している。地下鉄、バス、船といった公共交通機関はもちろん、日常のあらゆる場面で、クレジットカードをタッチするだけで決済ができる。切符を買うために駅の窓口へ並ぶなんて、もう過去の話だ。直接乗り物に乗り込むのが当たり前の風景になった。
それでも、空港に着いたばかりの観光客の中には「現金が必要かもしれない」と思って両替をする人が少なくない。しかし、現実にはイギリスでは現金を使う場面はほぼゼロだ。両替をすることで手数料を払ってしまうのは、まるで財布の中身を減らすために自ら労力を使っているようなものだ。
実際、私もイギリスで生活している中で、財布というものを5年以上持っていない。スマートフォン一つあれば、全てが解決する。レストランでもスーパーでも、教会でさえも。
そう、教会での募金もタッチ決済が可能だ。昔なら、現金を入れるための小さなバスケットが回ってきたものだが、今では同時にタッチ決済用の端末も一緒に回ってくる。信仰とテクノロジーが交差する瞬間だ。
このキャッシュレスの波は、遅ればせながら日本にも押し寄せている。たとえば、神社ではお賽銭を投げ入れるという伝統的な行為が、今やタッチ決済でできるところも増えているそうだ。なぜかというと、小銭を銀行に預ける際に、手数料がかかることが影響しているのだ。
ある銀行では、窓口で50枚までの小銭預け入れは無料だが、それを超えると手数料がかかる。1000枚以上ならさらに料金が増えるという、まるで小銭を数えるたびに財布が軽くなるようなシステムだ。ATMに至っては1枚目から手数料が発生する。神社にとっても、これではお賽銭の管理に苦労することだろう。
ヨーロッパでは、タッチ決済の電子化が急速に進んでいる。そして、日本以外のアジアの国々も、その流れに追いつこうとしている。ところが、日本では、新札が発行されることで国民の関心を引いているようだ。けれども、外国人にとってはその新札なんて、ほとんど興味の対象にはならないだろう。
私たちが今経験しているのは、キャッシュレスという新しい風が、古いものを静かに押し流していく時代だ。その変化は、思った以上に早く進んでいるのかもしれない。
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