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ブラックフライデーにある罠




ブラックフライデーというのは、一種の現象だ。アメリカを起源に、多くの国々で感謝祭の翌日に行われる壮大なセールイベントである。この日のために人々は財布を握りしめ、あるいは指先をスマートフォンの画面に準備して待ち構える。


感謝祭は11月の第4木曜日。つまり、ブラックフライデーはその翌日の金曜日にやってくる。「ブラック」という名前の由来にはいくつかの説がある。例えば、小売業者の帳簿が赤字から黒字に転じるという経済的なシンボルとして、あるいは1960年代のフィラデルフィアでこの日、買い物客や交通が急増し混乱を極めた街の状況を警察が「ブラックフライデー」と呼んだのが始まりだとも言われている。


ブラックフライデーが訪れると、多くの店で50%から70%もの大幅な値引きが行われる。朝早くから店頭に並ぶ人々がいるのも無理はない。オンラインショッピングの普及で、わざわざ店に行かなくても指一本でクリックすれば商品が買える。それが便利な時代だ。しかし、その便利さが人を誘惑する。気がつけば「本当に必要か?」と自問する間もなくカートに商品が増えていく。それこそブラックフライデーに飲み込まれている証拠だ。


もちろん、このイベントには注意すべき点もある。例えば、割引の魅力に釣られてつい不要な買い物をしないよう、計画的に購入すること。店舗によっては在庫が少なく、早朝に売り切れてしまうこともある。消費者にとってお得な買い物ができる一方で、この熱狂が無駄遣いを煽る危険も含んでいる。


だからこそ、賢くこの日を楽しむのが鍵となる。ブラックフライデーは、ただの金曜日ではない。それは消費社会が仕掛ける小さな冒険であり、欲望と理性のバランスを試す一種の知的な挑戦でもあるのだ。


文:はる『ロンドンでの失職、生き残りを綴ったブログ。小学生と中学生の子供を持つアラフィフサラリーマンが、ロンドンで長年働いた会社からいきなり(当日)の解雇通告を受け、その瞬間からオフィスにも戻れず退職。フリーランスで僅かな食費を稼ぐも、その後の就職活動が難航中。転身開始から738日目を迎えた。(リンク⇨737日目の記事)』


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