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Writer's pictureharuukjp

11月のロンドンもそれほど悪くない



10月末になると夏時間が終わり、ロンドンは冬時間に移行する。午後4時を過ぎる頃にはもう薄暗くなり、空はどんよりと曇りがちだ。晴れる日などほとんど期待できない。こういう時期は、ついつい空を見上げて溜息をついてしまいがちだが、そこから視線を少し落としてみるといい。紅葉を迎えた木々が、刻々と変わる色のグラデーションを見せてくれる。その鮮やかな色彩が、イギリス特有の煉瓦造りの家々と溶け合い、何とも言えない風情を醸し出している。


曇り空の下で赤い二階建てバスを目にすると、「これこそロンドンだ」という気分になる。それは、もしかしたらこの街の人々が抱える無意識の郷愁みたいなものなのかもしれない。紅葉とバスとが織りなす風景は、日々の忙しさや気分の低調さをそっと癒してくれる。


街はすでに2ヶ月先のクリスマスの準備に取り掛かっている。店先には華やかなクリスマス商品のディスプレイが並び始め、通りにはイルミネーションの取り付けが着々と進む。ロンドンの人々にとって、11月を乗り切る一つの方法は、クリスマスへの期待を糧にして日々を送ることだ。けれど、紅葉の季節に二階建てバスに囲まれながら、落ち葉を踏みしめてゆっくりと街を歩くのも悪くない過ごし方だと思う。


気温はだいたい5度から10度程度。風が吹かなければ、寒さはそれほど厳しく感じられない。この穏やかな冷え込みの中で、街路樹の紅葉に目を向けて歩いていると、時間の流れが少しだけ緩やかになる。


11月のロンドンは、紅葉を楽しむには意外と最適な場所かもしれない。葉が落ちる前の一瞬一瞬を捉えることで、普段とは違った景色が見えてくる。そして、その景色の中に身を置くことで、日常に埋もれていた何かを再発見できるかもしれない。


文:はる『ロンドンでの失職、生き残りを綴ったブログ。小学生と中学生の子供を持つアラフィフサラリーマンが、ロンドンで長年働いた会社からいきなり(当日)の解雇通告を受け、その瞬間からオフィスにも戻れず退職。フリーランスで僅かな食費を稼ぐも、その後の就職活動が難航中。転身開始から724 日目を迎えた。(リンク⇨723日目の記事)』


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