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イギリスのMOTで騙された話




イギリスで車を持つということは、MOTという検査を受けなければならないということでもある。「MOT」とは、正式には「Ministry of Transport test(運輸省検査)」と呼ばれるもので、要するに日本で言う「車検」に相当する制度だ。車が3年以上経っていれば、毎年このテストを受けるのが法律で定められている。


MOTとは何か


MOTは、車の安全性と環境への配慮を確保するための検査だ。主に以下のような点がチェックされる。


安全項目:ブレーキ、ライト、ホイール、タイヤ、シートベルト。要するに、車を安全に走らせるために必須のパーツだ。

排ガス規制:車の排出ガスが基準値を満たしているか。特に古い車の場合、この基準は厳しいものになる。

劣化状況:車体の錆や構造的な弱点も、テスト対象に含まれる。


MOTテストの流れ


MOTは認可を受けたテストセンターで予約を取り、45分から1時間ほどかけて実施される。合格すればその証明書が発行され、車はまた1年間走行可能となる。不合格であれば修理が必要だ。ちなみに、修理は他の工場でしても構わないが、再テストの費用はかかる。どの道、整備工場の言い分に従わざるを得ない状況に陥ることが多い。


テストで騙された話


私が驚いたのは、ある整備工場でのことだった。普通、MOTは車が走行するための基本的なチェック、つまりブレーキやライト、シートベルトなどが正常に動作しているかを見る検査だ。しかし、その工場は車をコンピューターに接続し、システムエラーをあれこれ指摘し始めたのだ。具体的には、運転席のシートベルトの認識センサーにエラーがあると言われ、シートベルトバックルの交換が必要だと宣告された。だが実際にはシートベルト自体に問題はなく、あくまでコンピューター上の警告に過ぎなかった。


こうした過剰な検査や、無理に修理を勧める手口は、以前も業界の大手で問題視されたことがある。大手であろうと小さな整備工場であろうと、こうした手口はどこかに潜んでいるものだ。そしてこういった不透明な料金も少なくない。例えば、MOTだけなら25~30ポンド、検査時間も30分ほどで済むのに、消費者が詳しくないと見るや、50〜60ポンドに引き上げられることも珍しくない。


MOT証明書の重要性


MOTに合格しなければ、車の保険も税金の支払いも手続きが進まない。期限切れのまま運転すれば罰金も科されるため、この証明書の有効期限には常に気を配る必要がある。


日本の車検との違い


イギリスのMOTは毎年の実施が多く、検査内容も比較的シンプルだ。そのため、日本のように高額な検査費用はかからない。日本では、新車登録から3年目に最初の車検があり、その後は2年ごとに更新が必要で、検査もやや厳格でコストも高い。


MOTというのは、ただの検査でありながらもその背景には驚くべきエピソードがある。イギリスのドライブライフは、こんな予想外のドラマや、時には笑い話のような出来事とともに進んでいくのだ。



文:はる『ロンドンでの失職、生き残りを綴ったブログ。小学生と中学生の子供を持つアラフィフサラリーマンが、ロンドンで長年働いた会社からいきなり(当日)の解雇通告を受け、その瞬間からオフィスにも戻れず退職。フリーランスで僅かな食費を稼ぐも、その後の就職活動が難航中。転身開始から722 日目を迎えた。(リンク⇨721日目の記事)』


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