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隣の男性にアロットメント歴を聞くと、なんと!



アラフィフで小学生と中学生の子供を持つサラリーマンが、ロンドンで長年働いた会社からいきなり(当日)の解雇通告を受け、その瞬間からオフィスにも戻れず退社。その後の就職活動が難航中。無職生活149日目を迎えた。(リンク⇨148日目の記事


借地で趣味で野菜や果物を育てている我が家だが、今年で10年になる。


イギリスで人気のあるアロットメント(家庭菜園用の借用地)は、30坪(10メートル x 10メートル)ほどの土地の使用料が年間25ポンドと、イギリスの高騰する住宅事情を踏まえると破格に見える値段で畑が借りられる。


借り始めた頃は上の子はまだ目を離すと危険なぐらい小さい子供だったので、夫婦で、片方が農作業をしている間は、もう片方が子供の面倒を見るといった手間のかかる日々が続いた。


そして畑での農作業の仕方を学び始め、慣れてきた頃に2人目が生まれ、さらに子供の面倒を見ながらの作業で、単純にはいかなかった。


下の子が5、6歳になる頃までは、夫婦2人で集中して作業をするということはできなかった。


そしてアロットメントを借り始めてから10年が経ち、今では子供2人が大きくなり、一緒に畑に連れて行くと、両親が作業をしている様子を見ながら2人で自然を観察して遊んだり、本を読んだりして、手間が掛からなくなった。


今となっては、上の子は草むしりなどを手伝ってくれるようにまでなり、一人作業員が増えて効率よく手入れができるようになった。下の子も、女の子だが、パパのお手伝いをしたいと、重たそうにスコップを両手で持ち、土ほりを手伝おうと一生懸命になってくれて嬉しい。


そんなこんなで10年が過ぎ、今日はそれを祝おうなんて家族で話していた。


私たちがアロットメントを始めた当初から隣の借用地にいた男性がいる。今日は彼と話す機会があり、いつからこの土地で作業をしているのか聞いてみた。


そしたら、なんと!


「50年いるね。1973年から. . .」


これには静かな畑に聞こえわたるような大きな声で、私もリアクションを取ってしまった。


50年って。農家に生まれて、農業を営むのであれば50年という人はいるかもしれないが、趣味程度の家庭菜園の借用地で50年は、趣味を続けるにもなかなかの年月だ。畑の維持は大変なもので、毎年1年を通してケアをしなければならない。


私たちの10年の間でも、周りで何度も新規に始める人が、維持するのが面倒でやめて行くのを何人も見てきた。てっきり私たちもアロットメント歴が上位に連なるメンバーかと思っていた。


しかし、50年には敵わない。


半世紀前、イギリスにまだ今ほど移民が少なく、私のような日本人がイギリスのアロットメントにはいないような時から、彼はずうっとこの地で働いていたのだ。


昔はジャガイモやキャベツといった定番を育てる人が多かったそうだが、今は、果物や、外国の野菜など、いろいろと年代を重ねるごとに育てる作物も変わってきたといっていた。


50年も畑を維持してきた尊敬するべき人と一緒にこの地で農作業ができて私も光栄だと感じた。


ちなみに30年という人がいるそうだが、その人はもう94歳だそうで、50年の彼には追いつけなさそう。


私たちがもし50年やったら90歳ぐらい。まだチャンスはありそうだが、彼の記録も今後60年、70年と伸びるので、記録更新は難しいだろう。


我が家のアロットメント10周年を記念すべき日に、50周年を彼と一緒に祝えて今日はなんか良い日だった。



(終)


〜はる〜


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