娘が小学校対抗のサッカー大会で補欠として選ばれた。サッカー自体はお遊び程度で、8チームが集まったものの、本気で取り組んでいるのは上位2チームくらいだ。残りのチームは、ボールを追いかけて団子になり、ただひたすら前へ蹴り合う、そんな光景が広がっていた。
それでも、娘たちは夢中になって一つのボールを追いかける。その姿を見ていると、私は心の底から幸せを感じる。子育てをしている中で、こういう瞬間に出会えるのは何とも言えない喜びだ。
さて、そんなサッカー大会だが、イギリスらしく雨天決行。本日はあいにくの雨で、しかも気温は12度。風も強い。外にいるとまるで冷水シャワーを浴びながら、扇風機に当たっているような気分になる。子供たちは芝生の上を元気に駆け回り、雨にも風にも負けずにボールを追いかけている。
私は運良く傘を持っていたが、強風に煽られ、ズボンはすっかりずぶ濡れだ。しかし、子供たちはもちろんのこと、観戦している大人たちも誰も傘をさしていない。この光景を見て、私はふと思った。「どうしてイギリス人は傘をささないのだろう?」
20年以上イギリスに住んでわかったことがある。それは、イギリスではよく雨が降るが、強い雨は少ないということだ。人々は雨に慣れてしまっているし、風が強くて傘が壊れることもしばしばある。加えて、傘を持つこと自体が邪魔になることも多い。結局、フードをかぶってしまえば、それで大体の雨はやり過ごせてしまうのだ。
そして驚くべきことに、フードさえ使わず、頭からびっしょり濡れていても平気なイギリス人も多い。これは日本で一般的な「濡れると風邪を引く」という概念が、イギリスではそこまで浸透していないのだろう。彼らにとって、雨に濡れることは日常の一部であり、それを特に気にする必要はないのかもしれない。
特に都市部では、傘を持ち歩くのが面倒だと感じる人が多い。公共交通機関を利用する人々は、傘を開閉する手間や、うっかり置き忘れるリスクを避けたがる。だから、傘を使わずフードで十分と思うのだ。
今日も、そんな風にフードをかぶって2時間以上ピッチに立っているお母さんたちがたくさんいた。さすがに補欠でサイドラインに立っている子供たちは、「もう帰りたい」と言い出したが、幸いなことに大会は雨のため中止となり、予定の3時間が2時間で終了した。
結果として、子供たちは10分の試合を5試合こなした。成績はまあまあだったが、そんなことはどうでも良かった。クラスのみんなが一丸となり、負けても歌を歌い、踊り、仲良く笑い合っていた。それを見て、私はまた、心の中で小さな幸せを感じていたのだ。
文:はる『小学生と中学生の子供を持つアラフィフサラリーマンが、ロンドンで長年働いた会社からいきなり(当日)の解雇通告を受け、その瞬間からオフィスにも戻れず退職。フリーランスで僅かな食費を稼ぐも、その後の就職活動が難航中。転身開始から685日目を迎えた。(リンク⇨684日目の記事)』
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