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満員電車の練習の前にティム・バートンの世界



ロンドンのデザインミュージアムでティム・バートンの作品展示があると聞き、私たちはケンジントンへ向かった。ちょうど昨日はハロウィーンだったので、娘は「ウェンズデー」の姿で、息子も大好きなドラマのキャラクターへの想いを胸に抱いている。バートン監督の作品は、息子も娘も、そして私もずっと好きだったものだ。


ケンジントンのハイストリートは観光客と地元の買い物客で溢れ、まるで私たちを新しい映画の世界へ導いているかのような雰囲気があった。ミュージアムに着くと、バートンが子供の頃から描き続けたという落書きや、映画で使われた衣装などがずらりと並んでいた。娘と息子はその一つひとつに見入っている。シザーハンズの衣装の前に立った時、私もつい長居をしてしまった。あの象徴的な鋏の手が目の前にあり、子供たちも私も思わず時を忘れたようだった。


帰り道には、地下鉄の混雑が待っていた。帰宅ラッシュに巻き込まれ、ぎゅうぎゅう詰めの車内。息子も娘も、日本での満員電車の話を思い出しているようだ。「日本でも、これよりもっとすごい満員電車を経験するんだよ」なんて言いながら、慣れない子供たちを支えた。


来年、家族で日本に行く予定がある。もちろん東京にも行くので、この小さな「前座」を少し経験しておくのも悪くない。展示会も満員電車も、きっと忘れられない1日になった。



文:はる『ロンドンでの失職、生き残りを綴ったブログ。小学生と中学生の子供を持つアラフィフサラリーマンが、ロンドンで長年働いた会社からいきなり(当日)の解雇通告を受け、その瞬間からオフィスにも戻れず退職。フリーランスで僅かな食費を稼ぐも、その後の就職活動が難航中。転身開始から711日目を迎えた。(リンク⇨710日目の記事)』


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