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Writer's pictureharuukjp

イギリスの田舎のど真ん中で取り残される



車を運転していると、道端に止まっている車をよく見かける。多くは故障した車だ。イギリスでは車検が毎年行われるが、その検査は比較的緩やかで、最低限の機能が作動していれば合格してしまう。そのため、多くの人が15年から20年と乗り潰す。しかし、どれほど大切に乗っていても、運が悪ければ故障が避けられない瞬間が訪れる。


そしてその瞬間が、私にも訪れた。


まず、車の暖房が突然効かなくなった。少し嫌な予感がしたのだが、それが的中した。エンジンが異常に高温になり始め、ついには車が自動的にスピード制御モードに入ってしまい、まともに走ることができなくなった。エンジンがオーバーヒート寸前だったのだ。


慌ててボンネットを開けてみると、冷却水のタンクが空っぽだった。以前から冷却水の漏れを疑っていたが、最近は特に問題なく、今朝も冷却水はちゃんと入っていたのに。どうやらどこかのチューブから漏れていて、タンクには冷却水が溜まらない状態になっていた。


その結果、エンジンを冷やすことができず、車は制御モードに入ってしまった。


運が悪いことに、この時私はコッツウォルズを走っていた。イギリスの田舎を代表する美しい風景、草原がどこまでも広がり、羊たちがのんびりと草を食む。しかし、この時ばかりはその美しい景色を楽しむ余裕など全くなかった。車を止めたのはちょうど牧場の前で、羊たちはこちらを怪訝そうに見つめている。


夜が迫れば、この辺りは街灯もなく、真っ暗になってしまう。人通りもほとんどない。そんな場所で、私は車をどうするか考えなければならなかった。本来なら、コッツウォルズの風景を楽しむための一日だったはずが、結局、苦い思い出としてその場所が私の心に刻まれることになった。


文:はる『ロンドンでの失職、生き残りを綴ったブログ。小学生と中学生の子供を持つアラフィフサラリーマンが、ロンドンで長年働いた会社からいきなり(当日)の解雇通告を受け、その瞬間からオフィスにも戻れず退職。フリーランスで僅かな食費を稼ぐも、その後の就職活動が難航中。転身開始から689日目を迎えた。(リンク⇨688日目の記事)』


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