
イギリスの物価高騰は、もはや日常の一部となってしまった。何もかもが高い。たとえば、五年前なら家族を連れてロンドンへ出かけ、展示会を鑑賞し、おしゃれなカフェで昼食をとる。そんな優雅な一日を過ごすことができた。しかし、今はどうだろう。
ファストフードでさえ四人で食べれば50ポンド(約1万円)。ちょっとしたフィッシュ&チップス屋で食事をすれば、あっという間に100ポンド(約2万円)が飛んでいく。
こんな時代を生き抜くには、少しばかりの工夫と情報戦が必要になる。つまり、割引情報や格安チケットの購入方法に常にアンテナを張り巡らせ、できるだけ無駄な出費を抑える。そうしなければ、本来なら安く手に入るものまで高値で買ってしまうことになる。
今回、私が目をつけたのは「ウィキッド」だった。
映画の大ヒットにより、ロングランを続けているロンドンのミュージカル版にも再び人気の波が押し寄せている。連日多くの人が劇場へ足を運び、その熱気に包まれている。
当然、チケット価格も高騰している。しかし、ここで一つ裏技がある。
毎週水曜日の午前10時に、次週の火曜日から日曜日までの最前列の席が30ポンド弱で売り出されるのだ。
方法は簡単だ。
水曜日の午前9時50分ごろになったら、以下のサイトにアクセスする。ウィキッド公式サイト
「BOOK TICKETS」→「WICKED FRONT ROW」を選択する。
「Click Here to Book Front Row Seats at the Apollo Victoria Theatre」をクリックし、あとはひたすら待機する。
10時になると順番待ちの番号が表示されるので、あとは神に祈る。
私の場合、70番目だった。しかし、次週の木曜日を選んだところ、家族分のチケットを確保することができた。
驚くべきはその価格差だ。私たちが30ポンドで購入した最前列のチケットの5列後ろの席が、250ポンドで売られていた。たしかに最前列は近すぎて首が痛くなるかもしれないが、それでも一流の演技を30ポンドで観られるなら、お得感は計り知れない。
ハーフターム(学期の中休み)でどこにも連れていけなかった子供たちは、チケットを手にした瞬間、大喜びした。
もっとも、劇場内で売られているアイスクリームがカップ1つ3.5ポンド(約700円)するのには苦笑いするしかなかったが——。
とはいえ、こうした経験が何かしらの刺激となり、子供たちの成長につながれば、それでいいのだと思う。
文:はる『ロンドンでの失職、生き残りを綴ったブログ。小学生と中学生の子供を持つアラフィフサラリーマンが、ロンドンで長年働いた会社からいきなり(当日)の解雇通告を受け、その瞬間からオフィスにも戻れず退職。フリーランスで僅かな食費を稼ぐも、その後の就職活動が難航中。転身開始から814日目を迎えた。(リンク⇨813日目の記事)』
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