小学生と中学生の子供を持つアラフィフサラリーマンが、ロンドンで長年働いた会社からいきなり(当日)の解雇通告を受け、その瞬間からオフィスにも戻れず退職。フリーランスで僅かな食費を稼ぐも、その後の就職活動が難航中。無職生活664日目を迎えた。(リンク⇨663日目の記事)
「eVisaは既に申請済みでしょうか?」と、リクルーターから突然の質問が来た。その瞬間、僕の頭の中は一瞬空白になった。eVisa?なんだそれ? 去年BRP(バイオメトリック・レジデンス・パーミット)を取得してるんだから、もうそんなもの必要ないんじゃないか?と思った。けれど、どうやらそう簡単な話ではなさそうだ。
イギリスがeVisaを導入した背景には、国境管理の強化、安全性の向上、そして入国手続きの効率化という狙いがあるらしい。これも現代の移民管理のトレンドの一部だと、僕は解釈している。世界がどんどんデジタル化され、管理もまた効率的に変わっていく。もちろん、それは僕たちにとっても便利なことではあるけれど、一方で面倒なプロセスが新たに増えるのも事実だ。
とにかく、リクルーターが「これを作っておくとイギリスでの就職活動に便利です」と言うのだから、早速作業に取り掛かることにした。必要なものはBRPカード、Eメールアドレス、スマホ、そして白い壁。白い壁、か。それが意外にも一番手間だった。狭い部屋の中で、まともに白い背景がある場所を探すのはなかなかのチャレンジだ。
手順は簡単だった。コンピューター、またはスマホで申込書に記入し、途中で専用アプリをダウンロードして顔認証を行う。白い壁をバックにした顔写真もアップロードする必要がある。なんとなく刑務所でのマグショットを撮られている気分だ。でも、プロセス自体はシンプルで、すべての作業を終えるまでに10分もかからなかった。
完了してから30分ほどで、メールでeVisaの確認が届いた。なんだ、これで終わりか。あまりにスムーズすぎて、逆に拍子抜けしてしまうくらいだ。
けれど、こういう手続きをしていると、少しだけ未来を垣間見た気がする。これから先、僕たちの生活のあらゆる局面で、こうしたデジタル化がますます進むのだろう。人々は顔認証でどこにでも行けるようになり、国境という概念も変わっていくのかもしれない。もちろん、それが良いのか悪いのかは、まだわからない。でも、いずれにしても、この手の手続きが「日常の一部」になることは間違いない。
それにしても、白い壁って、意外と大事なんだな。
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