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  • Writer's pictureharuukjp

ロンドンで遭難しかけた!これ注意してください



ロンドンの西アクトンでイベントに参加した時の話。


ある週末、ロンドン市内に出かけるとき、郊外に住む私は地上を走る電車を利用する。そしてロンドンの目指す駅はチャリングクロスで、その駅は東京でいうと東横線が渋谷に到着するような場所。その駅が、週末は、点検工事で終日閉鎖(結構頻繁にある)とのことで、通常であれば快速を利用して25分もあればロンドンの中心部に行ける電車がその日は動いていなかった。


しかし、もう一つロンドンの大きな駅、チャリングクロスから南西へ2kmほどのヴィクトリ駅に行く電車も利用できた。東京でいうと東横線から日比谷線に乗り入れて六本木に到着するような場所。結局この日はこの電車を利用したが、こちらの電車は各駅停車しかなく40分かかった。


ここからさらにロンドン鉄道のミステリーが始まる。


ロンドンヴィクトリア駅についた私は、今年2022年に開通したエリザベス線にぜひ乗ってみたいと思い、調べてみると、なんとアクトン付近を走っているとのことで、この機会にぜひ利用しようと、エリザベス線があるパディントン駅に向かった。


新車両のエリザベス線に乗るとテンションが上がった。エアコンの効いている広々とした車内で、私は快適に過ごしながら一駅でアクトンメインライン駅まで行けると想像していた。するとこの週末は工事により閉鎖、その駅は飛ばされて、次のイーリングブロードウェイ駅で降ろされた。


エリザベス線に乗ったテンションがやや下がった。


イーリングブロードウェイ駅からセントラル線に乗り一駅戻ってようやくウェストアクトン駅に着いた。


通常だと1時間もあれば着くところを1時間45分かかった。


そして帰り。


イベントが終了してヴィクトリア駅に向かいたい私は、エリザベス線に乗りたい願望などの邪気は捨て、とにかくヴィクトリア駅へ1本で行ける地下鉄を周辺の駅で探した。アクトンは東西南北さまざまな路線が走っていて15分も歩けば自分の好きな地下鉄の線に乗ることができる。


そこで選んだのがディスクリクト線。


5分歩けばセントラル線のウェストアクトン駅だったが、それを無視してディスクリクト線イーリングコモン駅まで15分歩いた。すると駅が封鎖、入り口はシャッターが閉まっていた。


週末の点検工事とのこと。


家族にはあと1時間もあれば家に着くといった連絡はすでにしてあったので、やや焦りを感じたが、冷静に次の駅までバスで行こうとバスに飛び乗った。


便利なスマートフォンで地図と現在地を確認しながら次の駅の近くになったところでバスを飛び降りた。


やや小走りで次の駅に行くと、そこも封鎖。アクトンタウン駅であった。ここはディスクリクト線と、ヒースロー空港から来るピカデリー線と2線が走っていて、さすがに電車は動いているだろうと思ったが、ことごとく撃沈。駅前では工事のおっちゃんが休憩中で腰を降ろしていた。


私はまたスマートフォンの地図を広げ次の駅を探した。そして、工事の休憩で休んでいるおっちゃんに「次のチズィックパーク駅は開いている?」と聞くと、即答でうなずいた。私はすぐに次の駅まで徒歩の時間を調べた。すると17分の表示。歩けなくもないが、バスを利用することも考慮に入れて近くのバス停で待ちながら、最善の方法を練っていた。すると、こういった点検工事による駅封鎖の日は臨時バスが運行されていて、駅を利用できない客を運んでくれるバスが目の前で止まった。


私はその臨時バスに飛び乗った。


乗車の際に運転手に「チズィックパーク駅にはこのバスが止まるか?」と質問したら、「うん」と答えられた。そして5分ほどバスに乗ってチズィックパーク駅前でバスから降りた。


すると、そこも封鎖。


工事休憩中のおっちゃんが自信満々に「うん」と答えた顔に対する怒りとか、バスの運転手に「チズィックパーク駅にこのバスが止まるか」ではなく、どうして「チズィックパーク駅は開いているか?」と質問しなかったのだろうといった怒りを抑えて、「考えている暇はない、家族は待っている」と自分に言い聞かせ、とにかく次の駅を探そうと、歩数がすでに5000歩を越え出している自分を励ました。


地下鉄に乗りたいのに駅前に着いて入り口が封鎖という衝撃を30分で3度経験してた私は精神的にかなり凹んでいて、もう家族との時間の約束どころではない、とにかくアクトンから脱出しロンドンの中心部に向かわなければならないと必死になっていた。


ちょうどその頃、携帯電話の電池があと10%以下になって判断が迫られた。ここから引き続きスマートフォンの地図を広げながら電池がなくなるまで次の駅をさがしてロンドン中心部に行く地下鉄を探すか、それとも、バス停に貼ってある地図を頼りに東西南北を大よそに把握して自分なりの感覚で短距離を探すか、どちらかの選択が迫られていたのである。


もし今後何かあった時に携帯の電池は取っておきたいと思いマナーモードに切り替え、私はバス停の地図を頼りに行動することに決めた。


さすがロンドン市内のバスで、行き先は別だが、5分おきに仕切りにやってきた。ただそのバスが東、北、南、どちらに向かうのかを見極めないと、更に遠回りになる可能性がある。


私はとにかく大きな街の名前が行き先に示してあるバスに乗ってそこで地下鉄に乗ろうと決めた。その街はホワイトシティーで、そこまで30分かかるとの表示がスマートフォンで確認された。(マナーモードを通常モードに切り替え、この時は一瞬だがオンラインになった)


1時間で家に着く予定のうち、この時点ですでに30分使って、まだ地下鉄に乗れずにアクトン周辺から脱出できていない。そこから更に30分かけて地下鉄の駅まで向かう。この時点で気持ちの凹み具合は最大に達した。


バスの中で、残り少ない電池のスマートフォンをもう一度オンラインにして、地下鉄の点検工事の状況を確認した。すると、次の駅のターナムグリーン駅までが今週末は閉鎖で、そこからロンドン中心部へのディスクリクト線は動いているという情報を得ることができた。


それを気づいたのが、ターナムグリーン駅前をバスが通過してホワイトシティーまでの25分の旅路が始まる瞬間だった。


私は急いでバスを飛び降り、ターナムグリーン駅へ小走りで向かった。


すると、駅内の天井の電気が着いていて、その光が外に浴びせている様子は、まるで救世主が現れて人々にこちらに来なさいと招き寄せているかのように安堵感と幸せを感じさせた。


電子改札口には通過可能な緑の光が見え、そこにスマートフォンをタッチして駅内に入ることができた。そして、ロンドン中心部からディスクリクト線を使って帰ってきた大勢の住民たちが電車を降り出口へ向かい、私の横を通り過ぎていった。その人が颯爽と歩く風が私に当たり、「この駅は生きている!」という感覚と感動を与えてくれた。


「やっと地下鉄に乗れる」


2分後に来たディストリクト線に飛び乗り、周りの乗客は、私がどれほど苦労してここまで辿り着いたかなど全く把握しない様子で、いつものロンドン地下鉄の雰囲気で、電車は我々をヴィクトリア駅まで運んでくれた。


結局、通常1時間程度で帰れる距離を、2時間15分かかった。


今回の件で感じたことは、まず週末のロンドンは線路の点検工事による一部閉鎖などがあるので気をつけること。慣れない土地で自分で判断して地下鉄の駅を探すのではなく、TRANSPORT FOR LONDON を使って、行き先を検索すれば、工事による駅封鎖なども全てアップデートされて順路を照会してくれるので、それを利用するのが良い。スマートフォンがない人は、今回の私のような土地勘だけで動くしかないので、多少の覚悟はしていただきたい。あと、携帯の電池が無くなりやすい人は帰りの分まで取っておく、または途中充電するなどの対応は必要である。


以上、ロンドン市内で遭難しかけた時の話であった。


〜はる〜


(終)


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